栃木の伝承・昔ばなし #11 へつり地蔵: 深山巴の宿の厳修行に耐えきれず逃亡し殺害された若い修行僧のための供養地蔵

栃木鹿沼の古峰神社からくねくねとうねった草久足尾線を歩いていくと左手に古道の入口が見えて来ます。 そこを進むと右手に大岩が現れます。

説明版があり何が書いてあるのだろうかと立ち寄ってみると。

へつり地蔵 :

◆ 江戸時代、若い修行僧が深山巴の宿での厳しい修行に耐えきれず逃げて来たがこの場所で捕らえられ殺されてしまった。

◆ これを憐れんだ土地の人々が供養のために建てたのがこの「へつり地蔵」

◆ 深山巴の宿での修行は大変厳しく特に厳寒期の修行は過酷であり衰弱死した修行僧は少なくなかった。

◆ へつりとは「少し削り取られた」という意味で山中の絶壁や海岸の厳しい場所を言います。

大岩の右手に周り込むように上がるとお地蔵様がいらっしゃいました。 (^^)

手を合せます。

さて、深山巴の宿の場所はここです。 へつり地蔵から徒歩で一時間足らずの距離です。

男体山開山の勝道上人が修行された地であり今もその遺構が残っています。

訪れる人も少なく静寂な場所です。

修行の辛さと憐れさ、そして土地の人の優しさが伝わる伝承でした。

余談:   「へつり」について

この言葉を他でも聞いたことがあったのですが、深く意味を考えていなかったので初めてそういう意味かと知りました。

◆ へつりとは「少し削り取られた」という意味で山中の絶壁や海岸の厳しい場所を言います。

そう言えば、南会津に「塔のへつり」という場所があります。 その説明は ・・・

「長い年月をかけて自然が作り出したこの渓谷は、塔の形が立ち並ぶ断崖という意味から「塔のへつり」と名づけられました。へつりとは地元の言葉で断崖のことです。

塔のへつり | おいでよ!南会津。 (aizu-concierge.com)

※ ちなみに、山用語で「へつる」という言葉があります。 よく沢登りで使われますが、断崖で2本足で歩けないような場所を落ちないように崖にお腹を向けてカニのように足を横に順送りにしながら歩きます。 どうやら元々はこの「へつり」が動詞に化したもんなんですね~等とこの説明版を読んで今頃気づきました。 (^_^;)  

登山で「へつる」「へつり」ってどういうこと? – A級放浪計画 (nebukurou.com)

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